マチルダの後を継いだベルナルドとオメロは、いずれも凡庸な貴族で、公国を内乱におとしいれた。
安定度は低下し、マチルダの遺産は食いつぶされ、宮廷は御家騒動の場と化した。
ベルナルドが没し、オメロが病に倒れたあと、のこされたのは僅か3歳のフォルコだった。
神)というわけで3歳の当主だ。
天使)貴族による養育を選択しており、将来は軍隊での教育をうけさせるつもりです。
宰相や家令、密偵頭などはカノッサ家の娘たちでかためさせました。
しかし当主の低い外交力などからくる封臣たちの忠誠度低下は避けられず、
トスカナでは反乱が頻発。軍隊や贈り物でなんとかそれを防いでいるといった具合です。
神)幼い当主を抱えた宮廷と、地方の封臣たちの対立が表現されていて、いい感じじゃないか。
天使)またローマ教皇もこの問題に介入してきました。
異端であることを理由にギリシャ正教徒であるフォルコの母が処刑されました。
また、フォルコの叔母の夫も、イスラム教徒であることを理由に処刑されています。
神)おお...。
天使)さらに、
神)まだあるのか。
天使)さらに、叛意をもった封臣たちが領地法を「封建的契約関係」に変更することを要求。
同法は封臣たちの権利をより多く認めるもので、忠誠度にボーナスがある代わりに君主の権限が制限されます。
ちなみにこれを拒否すれば、封臣たちに忠誠度低下や叛意といったペナルティが課せられます。
神)譲歩しかないな。3歳の君主では、地方の封臣やローマ教皇の言われるがままだ。
天使)分かりました。
神)封建的契約関係は、いつか絶対王政に代えたいな。
あと、はやくイタリア王国を建国するんだ。
天使)トスカナ公の領土は、ベルナルドとオメロの時代に一つずつ増えていて、現在21です。
イタリア王国のde jureである36のプロヴィンスのうち24を獲得すればイタリア王国の称号を簒奪できるので、
あと3つプロヴィンスを増やせばいいのです。
神)難易度がvery hardだと、1つのクレームをとるのに威信が650~1300くらいかかるので、時間がかかるんだよなあ。
天使)まあ、ぼちぼちやっていきましょう。
神)さて、フォルコが成人したな。
天使)こちらになります。
神)軍事18か。悪くない能力だな。
外交も、陰謀も、管理も及第点だ。
天使)ところで、なんで軍事教育をうけさせたんですか?
神)健康値があがるからな。いまのところ一族の男子はこのフォルコしかいない。
彼には長生きしてもらって、若い奥さんと結婚して、子どもをたくさんもうけてくれないと困る。
いまのままでは、いつ御家断絶がおこってもおかしくないからな。
天使)なるほど。
神)さあ、この軍事18で、イタリア王国建国といこうじゃないか。
神&天使)そして幾年月。
天使)神さま! 朗報です!
神)なんだなんだ、どしたどした。
天使)ついにイタリアのde jureである36プロヴィンスのうち、24プロヴィンスの確保に成功しました!
神)おお、コングラッチュレーション...! コングラッチュレーション...!
天使)まずボローニャですが、これはもともと共和国があったのですが、HREに反乱。
のち鎮圧されて皇帝の直轄領になっていました。
ここはまあ、とるのは難しいなあと思っていたのですが、皇帝が叙任権闘争で破門されたときに一応クレームだけとっておきました。
そのさらにあと、皇帝の苛烈な支配に農民反乱が起こって、農民あがりの指導者が独立国を建国。
これを攻撃して、臣従させ、トスカナ公の領域にしました。
神)ほほう。あとの2つは?
天使)一つはピサ共和国の首都リヴォルノです。ここもボローニャと同じくもともと共和国でした。
ピサの執政官はピサ公とリヴォルノ伯の称号をもっていたのですが、
帝国から独立してゲルフに属していたところ、皇帝軍に攻撃され、ピサ公爵を剥奪、リヴォルノ共和国になっていました。
何度か臣従交渉をしていたのですが、なかなか首を縦にふってくれず、困っていたのですが、
カノッサ家の娘婿がリヴォルノ執政官に就任したのをきっかけに、あちらのほうから臣従を申し出てくれました。
神)よきかなよきかな。最後の1つは?
天使)ケルンテルン公爵配下にある女伯がいたのですが、
彼女がどんな経緯か知りませんが異端を信奉し、教会から破門され、帝国からも独立していました。
破門されていたので格安でクレームをとり、攻撃、すぐに称号を剥奪し、ここにうちの司教領をたてました。
神)これで24つ目というわけか。いやあ、長かったような、短かったような道のりだったなあ。
イタリア王位を簒奪
天使)AARにすると短いようですが、実際にやるとけっこうな時間がかかるんですよね。
神)そうそう。
天使)あとはHRE皇帝からイタリア王号を簒奪し、これを奪回するだけですね。
神)それ、けっこう大仕事なんですが。
天使)いや、善は急げですよ。さっそく宣戦布告しましょう。
神)おいおい。
天使)ちょうどいい具合に、帝国はザーリア朝からホラント朝に移行する時期で内乱の危機におちいっています。
皇帝の外交力の縮小によって直轄領が減少し、いまや皇帝の直轄領は下ロレーヌの2プロヴィンスだけです。
宣戦布告画面で確認できる兵力差も、トスカナ公60000に対して皇帝軍55000。
勝てますって。
神)そらたしかにチャンスだな。
天使)じゃあ宣戦布告しますよ。
神)うん。
天使)ぱぱぱーぱうあーどどんどどん
イタリア王を僭称したフォルコに率いられた軍勢が、アルプス山脈を越え、下ロレーヌへ。
神)さて、もうすぐイタリア王国が建国されるということで、このAARを振り返ってみようか。
天使)ええと、まず皇帝のライバルであるトスカナ女公マチルダさんからはじめたんですよね。
神)マチルダは外交に秀でていて、ローマ教皇の後見人にもなっていたため、結構自由に勢力拡大が出来た。
はじめトスカナ公だけだった称号も、スポレート公、サルデニア公、シエナ公などたくさんとることに成功した。
天使)公爵号を数多くもっていると、威信の上昇もはやいため、随分助けられましたね。
神)うむ。
天使)マチルダの死後は、アントニオという私生児がいましたが、彼には相続権はなく、
トスカナ公爵などの称号と120Kの遺産は、ベルナルドという貴族が継ぎました。
いつも思うんですけど、継承者がいないときにポッとでてくるこの貴族はなんなんですかね?
神)前も言ったけど、マチルダの場合は、愛人かなんかじゃないかな。
ほら、史実でもマチルダの夫(のちに離婚)だったヴェルフ家の人間が継承権を主張してたりしたじゃん。
天使)私生児に継承権はなくて愛人に継承権はあるんですか? なんだか納得いかないなあ。
神)納得いかないのは私生児や貴族たちも同じだったらしく、トスカナ公の宮廷には暗殺未遂や内乱の危機が荒れ狂うことになる。
天使)私生児アントニオは、陰謀15で、執念深いもちの私生児。吃音で統合失調症と、かなりキャラたってましたよね。
はじめベルナルドは彼を密偵頭にしていましたが、のち罷免。アントニオは待遇に不満をもって配下の司教領に亡命しました。
神)そのあと、暗殺事件がおこるんだよな。「寝室の扉が突然ひらきました!」というやつ。
あれは執念深いもちの私生児が密偵頭にならないとおこらないイベントだと思う。
たぶん、アントニオが亡命先で密偵頭になり、暗殺イベントをおこしたんだろう。
天使)あそこで当主が死んでたら、また王朝断絶でしたから、無事で、ほんとよかったです。
神)あとでアントニオの動静を調べてみたんだが、AARには「鬱で死んだ」と書いたが、すまん、あれウソだった。
実際は肺炎になって病死してた。
天使)悲しい最後ですね。
神)生き残ったベルナルドだって辛い人生だったんだぞ。
彼が生きている間は、トスカナ公国にはずっと内乱の危機がついていた。
とくにアドリア海の対岸のイストリアと、サルデニア島のアルボレア、コルシカ島のコルシカが何度も何度も反乱をおこしてきた。
天使)最後にはこっちも怒ってしまって、イストリア伯爵は改易して司教領にし、
コルシカとサルデニアも領土召し上げで、娘婿たちの領土にしたんですよね。
神)あれは仕方あるまい。
天使)で、ベルナルドは50代で老衰。次は「血塗れのオメロ」です。
神)ベルナルドも男子はオメロしか産まず、オメロもなかなか男子を産まなかったから、けっこう焦ったんだよな。
天使)だからって、無闇矢鱈に奥さんを暗殺するのはどうかと思います。
神)だからー、あれはー、暗殺じゃなくって離婚なんだってば。
天使)ああ。
神)CK1では引退や隠棲のことを「die」と表現するだろ?
そして史実でも、子どもを産まなかったからって暗殺された妻なんてそういないだろ?
でも夫と反りが合わずに、ローマ教皇に頼んで離婚した事例ならいくらでもある。
したがって妻の「assasination」は離婚して修道院におしこめた、というのが正しい解釈になる。
天使)お、おう...。
神)なんだその顔。文句あるなら言ってごらん。
天使)じゃあ言いますけど、なんで親族殺しがつくんですか。
神)そりゃあ、その、なんだ。やっぱり世間体が悪いんじゃないのかな。
天使)じゃあ妥協して、こういう解釈はどうでしょう。
ブラッディ・オメロは奥さんと離婚して、もっと若くて、もっと美人な嫁さんをもらいたかった。
しかしローマ教皇は離婚を認めてくれない。
オメロは仕方なく奥さんに不貞の嫌疑をかけ、これを処刑してしまった。
これならヒストリカルでしょう?
神)ヘンリー8世か。まあそんなところでいいんじゃないかな。
天使)ブラッディ・オメロはそのあと戦場で重傷を負い、盲目になり、若くして死んでしまいます。
神)悪いことはできないもんだな。
天使)親族殺しもちの当主がはやく亡くなってくれるのはこちらとしても嬉しいです。
神)だな。
天使)そしてこの頁の主人公、フォルコが3歳にして家督を継ぐ。
未成年のフォルコに対してローマ教皇やトスカナの貴族たちは自分たちの権利を主張するが、
フォルコは長ずるにしたがって有能な当主になり、ギベリン側のイタリアの都市を数々傘下におさめた。
神)そして帝国の内乱にじょうじてイタリア王を僭称し、いまアルプスを越えて下ロレーヌの皇帝の居城に進軍している、というわけだ。
天使)感慨無量ですね。
神)おっ、いい知らせがきたぞ。
イタリア王国
天使)皇帝軍は各地で敗走、下ロレーヌの占領をもってイタリア王国が誕生しました。
神)ローマ教皇がイタリア王位をフォルコに戴冠させたのだな。
天使)そうですね。
神)ついに目標を達成しました。AAR作者の次回作にご期待下さい!
天使)...。
神)ちゃららーちゃらりらー(エンディングテーマ)
天使)ちょ、ちょっと待って下さい、神さま。
目標はたしか二つあったはずですよね。
神)え?
天使)一つはイタリア王国を建国する。
もう一つは、十字軍を成功させる、そうでしたよね?
神)神はあなたに十字軍への従軍を希望しておられる!
天使)おお
神)さらに、こうだ
天使)いざイェルサレムへ
神)アレキサンドリア十字軍だけどな
天使)あのへん、どうなってるんですか? その、勢力図とか。
神)第一回十字軍と第二回十字軍はイェルサレムが目標になって、カトリック諸侯がけっこう参加したがみんな返り討ちにあった。
とくにイングランドなんかひどくて、ムスリムにブリテン島に逆上陸されてる。
レコンキスタも敗北してスペインはムスリムのものになっていて、連中はフランスまで勢力をのばしている。
天使)げえ
神)イェルサレムもアレキサンドリアもエジプト王国がかたくまもっていて、緑一色だな。
天使)そういえば、シリアのほうにロードス騎士団領とかもできましたけど、すぐに滅びましたよね。
神)そうだな。カトリックで勝ってるのは、デンマーク王国の北方十字軍と、アプリア公国がシチリア遠征してシチリア王位を戴冠したくらいじゃないか。
天使)厳しい情勢ですねえ。
神)さて、イタリア王国による第三回十字軍(アレクサンドリア十字軍)の結果報告だ。
天使)どきどき
神)エジプト王国の軍勢を各地で打ち破って、王国の領土を八割くらい占領したんだけど、
天使)だけど?
神)資金が尽きたので和睦して撤退した。
10Kくらいは戦費あったんだけどなあ。
まあ、信仰あがったし評判も改善したからいいか*1。
あと、キプロス島だけは占領してキプロス公爵になっておいた。これは次回の十字軍の布石だな。
天使)まあ仕方ないですよね。
神)イェルサレムやアレキサンドリアの解放は、もっとお金を貯めて、兵力を涵養してからにする。
天使)はい
神)その後、フォルコはチュニス十字軍などを敢行するが、資金難や疫病などに悩まされ、戦果にはつながらなかった。
50歳代で没し(自然死)、イタリアの領民たちはこの稀代の英雄の死を悲しんだ。
天使)次回に続きます。
(続く)