パレオロゴス家 アドリアノスが語る

マヌエル2世が語る

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お、皇帝の椅子も悪くないね。
いいんじゃない。
もっと仰々しいものかと思っていたよ、ローマ皇帝の玉座は。

小さい頃から「皇帝とは」「帝国とは」って
耳にたこができるほど聞かされて育ってきたからね。

皇帝として何をやりたいか?
なんてことを考える時間は充分にあった。

十字軍

昔、遠い国からきた野蛮王の軍勢が
都のすぐそばを行進していくのを見た。

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聖アンドレの旗を押し立てて、大声で歌っていた。
ぼろぼろの服を着てろくな鎧もつけていなかった。
彼らが土埃の中に消えていくまで、僕はずっと見ていたんだ。

後から聞いた。
あれは十字軍というもので、
アラブ人からイェルサレムを奪還するために
はるばる地の果ての野蛮国からやってきたのだと。

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野蛮国の軍勢

十字軍。
親父も大臣も総主教も、
誰もそんなものがあることを教えてくれなかった。
僕は十字軍をやりたい。

manuel0.jpg マヌエル)僕が即位したあかつきには聖地イェルサレムを
manuel0.jpg いえ、失われた信仰圏のすべてを回復したいと思います。
adrianospp.jpg アドリアノス)いかん。ラテン人の愚劣に染まるな、マヌエル。
adrianospp.jpg 帝国を護るのは剣ではなく智謀だ。私と違って、おまえにはそれがある。

というように親父は反対したけど、遺言でようやく折れた。
「おまえの帝国だ。おまえの好きにしなさい」とね。

ガブリエルとフェリシタ

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マヌエル2世の右腕 ガブリエル・パレオロゴス
コンスタンティノス11世第2子

遠征中、皇帝にかわって帝国を治める人間を探さないといけない。

僕はガブリエルを選んだ。
さすがはコンスタンティノスの息子というべきか、
帝国を預けるにふさわしい優れた政略家だ。

このガブリエルが、ソフィア・ダルマニャックの娘に恋をした。

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密偵頭ダルマニャックの娘 フェリシタ・デッラ=スカラ
のち帝国の金庫番として辣腕をふるう
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「フェリシタ! 愛してる! フェリシタ!」

あっさり振られた。

かわいそうに。ガブリエル。
僕はこの二人がうまく行けばいいと思っていたのでがっかりした。


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皇帝と妃は夫婦円満

というのは、僕とギュネスはとても仲がいいんだけど
子供がゾエとエウドシアの娘二人しかいない。
もしもの時は帝位をガブリエルに継いでもらおうと思っているから、
できれば賢い嫁のほうがありがたいんだ。

それにフェリシタは、すでに男系の絶えてしまった
モンフェラート・パレオロゴス家の血筋でもあるし。

manuelpp.jpg 妃よ。どうしたもんかな。
gunespp.jpg ギュネス・コペル)要はくっつければいいんでしょう?

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妃のギュネスにまかせると、あっというまに婚礼まで話が進んだ。
女は恐ろしい。

本家とモンフェラート家の統合は成功するだろうか。

出撃

1446年5月25日。
僕は聖ソフィア聖堂に帝国諸侯を集め、
荘厳をきわめた奉神礼を挙行した。

「栄光を!」
「主よ勝利を与えたまえ!」
「ウラーーー!」

聖堂の外にあふれかえった帝国の軍兵は
ギリシアの、スラブの、トルコの、ラテンの雄叫びをあげて
輝かしい戦勝を主に祈願した。

戦役の目的ははっきりしている。
イェルサレム、そしてエジプト属州とシリア属州の完全な領有だ。

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わが中央軍35000はアダナに集結し、シリア沿岸を一気に南下する。
プランタジネット公率いるノルマン艦隊はアークル港を強襲し、
中央軍の到着までこのパレスティナ最大の都市を保持する。

ビュレンド・コペルのアルメニア軍18000は助攻だ。
夏のうちにザグロス山脈を越え、タブリーズを今度こそ陥落させる。
ペルシアへ突っ込むかシリアへ転進するかは後で決める。

この攻撃計画においてきわめて重要な意味を持つのが
テオドロス・パレオロゴスのモレアス専制公軍19000だ。
ヴェネツィア艦隊の援護を受けつつ2地点からエジプトに上陸。
すみやかにナイルをさかのぼり、スーダン奥地まで進撃する。
エジプトを抑えないかぎり、パレスティナを保持することはできない。
僕はラテン人による十字軍の歴史からそれを学んでいた。

進め、兵士らよ。
800年の時を経て、ローマの鷲が東方諸州へ舞い降りる。


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8月4日。
アナトリアを行軍中、帝都からの便りを受け取った。
待望の男子だ!

gunespp.jpg バシレイオスは私が責任をもって育てますから
gunespp.jpg 陛下は思う存分暴れてきてください。

できた妃だ……ていうかごめん。

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非常に夫婦円満

シリア戦線

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月々の戦費は貢納金によってまかなわれた

僕がもっとも重視したのは戦費の調達だ。
開戦当初1500万ノミスマくらいは溜め込んであった国庫は
輸送を請け負ったヴェネツィアへの支払いですっからかんに。

しかし、敵の大守を脅して金銀財宝を巻き上げることで、
開戦4ヶ月で国庫は5700万ノミスマに膨張。
聖地を取り戻しにいったのか、強盗を働きにいったのか、
自分でもよくわからない。


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メッカ家のサイード・ダウラット
帝国に服してトリポリ大守に取り立てられた

とはいえ、僕は血に飢えた征服者じゃない。
降伏した城市の略奪は許さず、
マムルーク朝のアラブ人大守をそのまま帝国貴族に任じた。
このため僕の評判は大いに高まった。


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1446年10月16日 トリポリの会戦

最大の決戦はトリポリでおこなわれた。
僕は甲冑に身を固めたラテン傭兵をひきいて、力押しに押した。
「心得違いの戦士」に戦術なんかいらない。

そして僕は勝った。
目の前にはベイルートが、ガリラヤ湖が、
主がその御足で歩まれたヨルダン渓谷がひらけている。

タブリーズ陥落

bulendpp.jpg ビュレンド・コペル)敵の副都タブリーズを陥した。
bulendpp.jpg 今後の進撃方向について皇帝の指示を乞う。

1447年1月、アゼルバイジャン戦線から手紙が届いた。
僕はすぐに返事を書いた。
はは、ビュレンドの驚く顔が目に見えるようだ。


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マヌエル2世の義弟ビュレンドを王として
コペル家のアルメニア王国成立

東部山岳地帯は帝国中枢から遠く、民の気性も荒い。
正直、掌握しきれないと感じていた。
パレオロゴスの誰かにアルメニアを任せることも考えたけど、
そろそろコペル家の貢献に報いてもいい頃じゃないかな?


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ところが2月。
中央軍が聖都イェルサレムに突撃する直前、
グルジアとアルメニアが開戦したという急報が入った。
国境のタオ領をめぐっての小競り合いらしい。

グルジアのイグナティオス・パレオロゴスと
アルメニアのビュレンド・コペルはともに大事な一族だ。
僕は中立を保つしかなかった。

皇帝は面倒くさい。

イェルサレム堅し

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1447年4月。
僕はまだイェルサレムを破れない。
堅い。堅すぎる。

平安の都

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主よ照覧あれ。
5月22日、僕はついに聖都へ入城した!

マムルーク朝のスルタンは帝国との和睦を受け入れ、
粛々とイェルサレムを去った。


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戦役を終えた帝国、1447年6月
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モレアス専制公テオドロスによるブラズ系パレオロゴス王家をエジプトに創設
一方、シリアの征服は未完に終わった

聖墳墓教会の鐘が鳴っている。
城壁という城壁に、パレオロゴスの双頭鷲旗がひるがえる。
人々が僕にむかって棕櫚の葉を振っている。

ついにやった。
僕はローマの、そして全キリスト教徒の皇帝だ!



マヌエル2世が語る 2

パレオロゴス家


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