それでは歌おう
オークニーのグトルム=アーランドソンのこと
みな信じて疑わなかった
このグトルム=アーランドソンが島々を統一するのだと
生まれついての王者だった
それが、ああ!
グトルム=アーランドソンは血を吐いた
ビャルネ=グトルムソンがクロヴァン家をついだ
聖コルンバの祝日に
その年の冬は冷え込みそうだった
四旬節が終わらぬうちに
グトルム=アーランドソンは死んだ
寝所を朱に染めて
ビャルネの堅信礼を待たずに
みな信じて疑わなかったのに
グトルム=アーランドソンが島々を統一すると
武勇すぐれた騎士
生まれついての王者だったのに
ケイスネスとロスのヤール
グトルム=アーランドソンの歌はこれでおしまい
それでは歌おう
オークニーのビャルネ=グトルムソンのこと
ノルマン王の従者からはじめた
遠いサレーの宮廷で
呼び戻されたのは12の頃
クロヴァン家の大ヤール章をその身におびた
それからケイスネスとロスを継いだ
キャリックをついだのは14の頃
イングリッド=アーランズドッティル
パル=グトルムソンの命と引き換えに
ビャルネ=グトルムソンはノルマン王に手紙をだした
大工に鍛冶屋
石工に鋳掛け屋
みなフランスから呼びよせた
見たこともない仕掛け
あっと驚く名人技
まるで良い魔法をかけたように
領国はいやさかえた
ビャルネは妻をめとった
うつくしいハルドラ
ユングリング家のトルステンの娘
ビャルネは3人の息子にめぐまれた
だが幸せ者はねたまれる
ささいなことから異端のうたがい
喧嘩別れの司教が吹聴した
とんと後任はこなかった
9人もの騎士が出ていった
みな先代からつとめあげた忠臣ばかり
ビャルネもハルドラも悩みやつれた
人のこころだけはどうにもならぬ
かけがえのない名家令
グリム=アーランドソンがついに逝った
西方諸島にかけられた良い魔法は
これで全部消えうせた
ぎらり、きらめく鋼の刃
喉をひと突き
ビャルネ=グトルムソンは横たわった
寝所を朱に染めて
パル=アルネソンのしわざと人はいう
出ていった騎士のひとりで
いまはゲール王に仕える隣国のヤール
でも本当のことはわからない
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ビャルネの3人の息子たち
不平のないよう領国をわけた
請求権も平等に
ノルドの古いしきたり通り
風吹きすさぶルーイスの島
ビャルネ=グトルムソンは横たわった
十字をつけることを許されぬ
ルーンを刻んだ岩の下に
西方諸島の大ヤール
ビャルネ=グトルムソンの歌はこれでおしまい