彼がその名を歴史に表したのは、先の戦争における若武者ぶりであった。
ノルマンディー、ブルターニュ共通の後継者として両者間を頻繁に往復する形で育てられた彼は地理に明るく、
手勢を率いてのノルマンディー一帯の王軍配下の砦を速やかに制圧することに成功したのである。
フランス王の恣にされていた自領を奪回したことにより、彼はノルマンディーの騎士達からの絶大な支持を獲得、
若年ながらも祖父ロベール公に代わりノルマン騎士達の指揮官として活動するようになる。
最初期の攻勢に大いに貢献した後は各地を転戦し、
勝敗を決定づけたシャロン攻略にも参加している。
父王即位後は頻発する反乱に将軍として対処し、数々の軍功を挙げて
成立間もないブルターニュ朝フランス王国の瓦解を防止した。
その名はアーサー。
かの騎士王の血と名を受け継ぐ、ブリテンを解放する運命の子である。
*2